レンタルスペース投資術と運用

鍵が開かない事件

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これは5年程前のことで、新宿のとあるレンタルスペースのことだ。

通常、レンタルスペースは無人営業が多い。どうやって予約者が鍵を開けるかというと、様々なパターンがあるが、一番簡単でよいのは、鍵なしでそのまま入れるようにすることだ。やはり、レンタルスペースで一番問題なのは、オートロックなどの入室ができないことや鍵を使うと、ポストのダイヤル式にしたりすると入室できないことなどが多くある。

 

レンタルスペースで最も多い問い合わせの大半は、このような入室に関することだ。入室できない理由の90%は
@そもそも部屋や場所が間違っている
A入室方法が間違っている
のこの2つが圧倒的に多い。そのため、レンタルスペース運営をスムーズにするには、できる限り入室を簡単にすることに尽きる。この新宿のスペースはオートロックもないし、鍵を使った開閉もしない。つまり、誰でも簡単に入れるというわけだ。

 

誰でも簡単に入れるというこのような運営方法だと、盗難などのリスクもある。しかし、部屋の中には極力備品を減らし、盗難されるようなものを置かない。その分安くし、部屋にも簡単に入れるというのが、このスペースの良いところ。そして、稼働時間を増やすコンセプトの貸スペース運営方針だ。

 

だから、この貸スペースの問い合わせは、入室に関することは今まで一度もなかった。たまに場所がわからないくらいしか問い合わせがないから、安心していた。

 

しかし、一本の電話がかかってくる。どうやら新宿のこのスペースのことで、どうにも鍵がかかり開かないと、予約者の方から電話があった。

続き

私も鍵自体はないので、そんなことありえないと話したが、どうやら本当に開かないらしい。最初はドアのたてつけが悪いのではと思い、特にこの部屋のドアは若干たてつけが悪いため、特に女性の場合、思いっきり引かないとドアが開かないことがある。だから、おもいっきり引いてくださいと指示したが、それでも開かないとのこと。

 

そこで、利用者がビルや部屋番号を間違えているのではと疑い、スマホからドアの写真を撮影して送ってもらった。写真を確認してみると、間違いはなさそうである。

 

どうやら完全に中から鍵がかかっている状態だ。鍵がかかっているということは、中に人がいるということだ。

 

この場合疑われるのはダブルブッキングである。基本的に、このようなスペース仲介サイトはGoogleカレンダーに同期して、空きと埋まり具合を同期できるので、通常はダブルブッキングはありえない。しかし、過去に仲介サイトの調子がおかしくなり、Googleカレンダーと同期せずにダブルブッキングしてしまうというトラブルがあった。

 

私は最初それを疑い、すぐに各サイトの予約状況を確認した。しかし、ダブルブッキングの形跡はない。

 

残すところ一つ可能性があるとすれば、中に誰かがいて鍵をかけて不法に占拠しているということだ。予約者に聞くと、中には誰もいる様子はないとのこと。

 

私はわけがわからない。もうお手上げ状態だった。仕方ないので、このスペースを借りているオーナーに電話した。オーナーも何故鍵がかかっているのかわからないとのことで、幸いにもオーナーが鍵を持ってきてくれるとのことで、急遽私がその貸スペースまで出動し、鍵を開けに行った。

 

不法に中に入っている人がいたらどうしようかとドキドキしながら鍵を開けた。鍵を開けたところ、中には誰もいなかった。何故鍵がかかっていたのか非常に謎であった。一つ考えられるのは、前の利用者が中から鍵をかけ、ベランダから外に出て行った可能性がある。ちなみに利用される会議室は3階で、ベランダから降りることはできなくはない。

 

とにかく、予約者には約1時間遅れたがなんとか利用してもらうことができた。迷惑をかけたので、料金も大幅に割引してあげた。

 

 

その後、なぜこのスペースに鍵がかかったかが判明した。

オフィスの設備点検を行う必要があり、貸主である地主がオフィスの設備業者に鍵を渡したらしい。通常、設備業者は点検が終われば鍵を閉めるのが常だが、この場合、その行動が原因で鍵がかかってしまったのである。まさかこんなトラブルがあるとは思わなかった。

 

レンタルスペースの運営を行うと、想定をはるかに上回るトラブルがよく発生するものだ。これからレンタルスペースを運営する方々も、設備の点検などに注意して、トラブルを未然に防いでほしい。